江間 廣の焼締め陶

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Q&A       

1. 凡窯の名前の由来


 高校時代サッカーをやっていました。そのOB会の名称が「凡友会」で、凡の一字をいただきました。昭和28年 私が生まれた年に東京都で優勝し
全国大会に参加するなど、その当時に活躍されたこわもての先輩など、連綿と組織され、今でも旧交を温めあっています。



8. 無釉なのに、また同じ土なのに、赤い色とか黒い色が出るのは

 一般的に、生地に含まれる鉱物、特に鉄分が窯内でどのような作用を受けるかで色は大きく変わってきます。
薪をたくと外の空気(酸素)だけでは足りず、器に入っている酸素(たとえばFe2O3のO2)を、燃えよう燃えようとして
奪います。いわゆる還元作用を受け、鉄は黒くなったり、緑色に変化し、器面に色を付けます。
一方、窯内に十分酸素がいきわたっている状態、例えば焚いている場所から遠いなど、鉄は酸化状態では赤くなります。



9. 器の表と裏側の差は

 使っている窯は、焚口から煙道まで仕切りのない細長い一部屋の構造、いわゆる穴窯です。
焚口から煙道に向かって炎は一直線に流れ、器の正面にダイレクトに当たります(直炎式)。
一方、器の裏側には炎は直接当たりません。その器の表と裏の景色の差、さらにその間に生まれるグラデーションが、
穴窯の魅力です。
 一般的に使われている登り窯は、窯内が一部屋ごとに仕切られ、壁の下の穴(狭間)から順次 
炎は次の部屋に流れます。器に対して炎は全体的に柔らかく当たり(陶炎式)、穴窯の景色とはまた違ったものになります。
 また穴窯は、器の表と裏の温度差が登り窯より強くなり、ひび割れなど作品ロスは大きくなります。






10. 赤いボタはどのように焼くの

 器の表面に赤くなるボタの景色はその部分に道具土を用いて好きな形に成形したものを置きます
。その部分だけ、灰が降らず、また炎が直接当たらのいので鉄分が酸化状態のまま保たれ赤く発色します。
道具土を使わず作品んを直接乗せることもあります。
 昔、陶板や土で作られた棚板のボタの景色から、生み出された技法です。



11. マーブル模様はどのように

 原土をほとんど練らずに器を作ると、マーブル模様ができます。
土は普通、同色に見えますが、乾燥させ5mmぐらいのおおきさに叩くと
様々な色の小さな塊になります。その様々ないろ(鉱物などの違い)が、
焼くとそのままマーブル模様となります。粘土の空気を抜く菊練りは
普通100回ほど練るのですが、あまり混ぜすぎると色が一元化するので、
マーブルの場合は、10回ぐらいで空気を抜く技術が必要となります。
 また、板状のものは、よく練った普通の板と、マーブル模様に仕上げた板を、
張り合わせて二重構造で作ることもあります。
これは、水漏れがないようにする効果を期待してのものです。
                  






12. 白い肌に細かい灰が降っている作品は

 サヤという容器に作品を入れ、普通は全面に蓋をして密封状態で焼くのですが、
ほんの一部だけ蓋を開けておくと、その部分から細かい灰が、器面に降りかかり、
景色となります。








13. 普段自分に言い聞かせていることは

 作陶時は、「納得いくまで、納得いくまで」、窯焚きの時は、「しぶとく、 しぶとく」と、つぶやいています。





14. 焼き締めの器の使い方は

 お使いになる前には、しばらく水に浸してください。その後、布巾でさっと水気を取り、料理を盛り付けてください。
水につけることにより、器に臭いや脂分が残るのを防ぎ、鮮やかになった器に、料理がよく映えます。
使い終わりましたら、早めにたわしで洗い、よく乾かしてください。水分、湿りの残ったまま収納しますと、
臭いが付着したり、カビが生えてしまうこともあります。長期に収納される時は、
天日にあてて、しっかり乾燥させてから収納してください。
少々手間がかかりますが、使えば使うほど味が出てくる焼き締めの器。
日々様々な料理を盛って、焼き締めの魅力をご堪能ください。



































4. 赤松を使うのはなぜですか

 赤松は、脂分が多く、火力が強いため炎が長く伸びます。また柔らかい木なのでオキが残りにくく、温度が上げやすいという特徴があります。
クヌギなどの硬い木を使う人もいますが、性質としては赤松と逆のイメージということになりまり、特にオキが溜まりやすくなり、うまく処理しないと温度が
上がりにくくなります。また、焼き締め陶の場合、器に降りかかった灰が溶けて景色になるので、使う薪の木の種類によって、多少違ってきます。



5. 虫が食った赤松は使えないですか

 脂分が抜けて、火力は期待できません。オキが溜まりすぎたときなど、すぐに燃えてくれるので、使えないことはないですが、使ったことはありません。



6. 一回の窯焚きで使う薪の量は

 一号窯で、約1200束、原木で15t位です。かなりの量を使います。
 二号窯では、約900束、薪喰い窯です。




7. 板皿などゆがまないのですか

 作成後、6週間ぐらいかけて、ゆっくり乾燥させます。まず、押し入れのような室に入れ、3週間、次にビニールで仕切った棚に3週間、最後に
作業場の棚で、乾燥させます。また作品の位置を左右前後に変え、器全体が均等に乾燥するよう、かなり神経を使います。また板皿の表面に
赤貝などを使い、線刻することにより、火にあたる表面積を大きくして、歪みの発生をセーブしています。
 器の表面に、凹凸ができることにより、西京漬けや油や水分が多い食材に適したものとなるという利点もあります。



2. 温度はどうやってわかるの


 窯内の温度を知る方法は、温度計(パイロメーター)はあくまで参考で、炎の色、灰の溶け方、ゼーゲルの倒れ方、そして最終的には色見を窯内から
引き出して判断します。炎の色は、赤 橙 黄 白 白青と変化していきますが、窯内正面の色が白になりかけたころ(およそ1300℃ ゼーゲル10番
倒壊)がうちの窯では、正面の火の止めどころになります。

3. 焚く薪は、どうやって調達していますか


 大町市の山仕事専門の業者から、4mに切った赤松の原木を運んでもらっています。届いた原木をチェーンソーで50cmに切り、
22tのエンジン薪割機で、薪を作っています。焚く温度帯で薪の太さも変わるので、それにそれぞれ合わせて作ります。最後の4日間に使う薪の太さは、
半割(丸太を半分に割ったもの)の大きさになります。