俳句   季語の色分け表示
俳句の季語
最近、テレビ番組の「プレバト」で俳句が放映されて人気を集めている。夏井いつき先生の毒舌評論が評判になっているが、その中で「季語」に関する評論が出て来ることがある。
我々素人には、どれが「季語」なのか分からなかったが、Webで検索出来ることが分かったので、平成28年8月投稿の句から「季語」を色変わりで紹介することにした。
 「季語」,「子季語」。
 子季語とは本来の季語の関連で拡張された季語。 
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投稿日 投稿者  俳句 季節
2023/06/05 名小路明之 春光やうつわの水の反射光
蜜蜂にまかす受粉や梅の花
伝馬船波のしぶきの余寒かな
地図を手にスマホで写真臥竜梅
啓蟄や時の刻みの早まりて
御御籤を引けば大吉竜の玉
を待つ仁王の天に天女かな
川べりの草の垂氷のゆれにけり
荒東風や揺れをたのしむ舫ひ舟
春浅し池のさざ波風写す
夜な夜なをさ迷ふ>多摩の里
冬めくや沸騰の音ききわけて
箱根路を鍛へる走者十二月
時代経し運慶五仏冬日和
山家には冬枯れの柿たわわなり
陽だまりのベンチ山茶花深紅なり
手の平に乗せてとかすや初氷
輪唱の冬の囀多摩の森
枯木立枝々の間に碧き空
寄鍋や好みの合ひて五十年
2023/02/15 名小路明之 左義長や邪気を燃やせと高々と
故郷の空気の旨し返り花
六甲山の火矢にうき立つ豊の秋
蘆の穂や片足立ちの鷺の技
読みふけし藤村の詩やふじ林檎
木の実降る貝殻坂やかって海
湧水の池を染めたる曼殊沙華
紅天狗茸異界の径をふさぎけり
冠雪富士山頂を清めたる
虫の声闇より掬ふ露天風呂
十月の雨武蔵野の森に浸む
四人連れ熊野古道の秋の声
挨拶を小声で交はす野路
露草や今日の印を指先に
白萩や大師の杖に揺れかかる
名月やかすめて西へ最終便
  早朝の光と影や牽牛花
  黄金虫登りけはしき八十の壁
  シャツひとつ居どころさがす夏座敷
  ラフティング御岳の渓の蟬時雨
  亡き父へ母へと継ぎし盆灯籠
2022/09/04 名小路明之 盂蘭盆会年に一度の里の道
群雲や名月のぼる隅田川
秋の海浅葱斑の台湾行
朝露の光に触るるはけの径
外出の色物シャツや処暑の空
静寂をやぶる雨音秋の宵
木犀歴史を伝ふ建物群
常念岳やぱりつと浸みる早生林檎
国宝の寺の庇や天高し
芦ノ湖の次は伊良湖か鷲わたる
水戸公の池の子亀も甲羅干し
夏シャツや皆疾走の原つぱら
花菖蒲多摩に国宝地蔵堂
手入れせぬ庭もよ深呼吸
憶万年の命の由来夏来る
こちらへと白南風を呼ぶ朝の窓
夕暮や胃を整へる冷奴
歴年の染みを消したし蛇の
夜店の灯子供は夢を膨らます
負けそうな気力に活や夏蜜柑
安曇野の麓へつづく花の雲
草取りや貨車の響きの地を這ひて
妻ともに今日の花見や五十年
太き鯉吾に真つ直ぐ夏の鯉
夏きざす始めぎこぎこ骨の音
青柳を透かしてのぞむ隅田川
菜花咲き野川の流れ染めにけり
花見や鴨の休める船の屋根
春眠やあと半刻を寝すごせり
雌を追ふ雄亀ゆるり水温む
2022/06/03 名小路明之  紋白蝶空より戦かなしまん
三椏の花の咽ぶや汀子逝く
春寒や戦場となるドニエプル
残しゴンドラになる三日月
里山のシャイな顔見せぬ
干し物の湯気や春光まぶしめり
仏壇に燈る蝋燭一輪
春の雪駅へ行くひと豹柄に
雪掻きを覚悟の朝の良く晴れて
村はずれの雪庇にすくと道祖神
  蕾みたる枝も剪らねば冬薔薇
茶の花や最後を語る友の妻
手に傷の妻の代役おでん鍋
置くへ朝日のとどく芝の湯気
綿虫の気ままな浮遊追へやせぬ
買い足しの商店街や初景色 新年
  大鍋を喰らう覚悟や大根焚
  地球危機ペガサス出でよけりて
  寒肥やふだんの無精挽回す
  晩学の成果まずまず木の葉髪
2021/09/24  名小路明之  かさなりて箪笥あふるる冬支度
武蔵野の化粧始まる立田姫
      立田姫(奈良の立田山を神格化し紅葉を司る女神)
  冬地蔵錫(しゃく)にクロスを見つけたり
      錫は錫杖の略
  龍潜む池には鯉も武州かな
    「龍潜む池」は龍が潜む神秘的な淵、池を表した季語
  冬蝶の息をひきとる草の中
  好天のきざしあらはる谷の
  釣人へ寄れぬ静寂(しじま)や初尾花
  遠富士や径のなぞへに小菊咲く  秋
  白萩のあふるる庭や朝の寺  秋
  野分晴ハスキー犬の川あそび
  処暑の水のんどをすぎる熱冷まし
  爪先に団栗はぬる野川かな 秋 
    直売所一山売りのの色
  我が庭の草の根強し栗羊羹
    仲秋や隣家の灯(ともし)すこやかに
  木洩れ日の揺るる小径や文字摺草
  盂蘭盆会御目見僧の一分刈
    朝顔のあさの窓辺の紺絞り
    萬星や谷より空へ天の川
  斑鳩(いかるが)をサイクルで行く秋の風
2021/09/24 名小路明之 み掌欠くる仏のゑます額の花
草引きや夕べの雨の背にこぼる
朝涼の肌に郷里の記憶かな
卯の花や砂に吸はるる波の末
青梅に塩をすりこむ夕べかな
万緑や葉陰に鳥の鳴き立つる
の休む岸に亀寄る神田濠
雨蛙鳴き合ふ声を眠りまで
廃校舎フェンスに葡萄袋掛
行々子縄張り訴ふ草の丈
2121/07/09 名小路明之 子の嬉嬉と追ふ母の吹くしゃぼん玉
春愁やワクチンを待つ医者の庭
荒れ庭の隅に見どころあやめ草
丹精の大輪の薔薇名はピース
万緑や鳥獣戯画の名演技
春霞耐える十年(ととせ)のクレーン塔
安曇野の萌ゆる野末や父母の墓
近寄れぬダムの轟雪解かな
鑑真の面差(おもざ)しをたのしめり
林間へ朝の日ざしや百千鳥
2021/05/01 名小路明之 サッカーを応援の父母風光る
合格す子の挨拶の大人びて
コロナ禍を沈丁の香の覆いけり
蒼天へ梅の香のたつ日和かな
散歩道野菜の棚に猫柳
束の間の入り日に燃ゆる枯木立
淡雪やいつもの鳥のあわてよう
野川ぞい親も競えるいかのぼり
青き踏む子を引く母の笑顔かな
スマホからアマビエ模写し湯ざめかな
谷からの風は時雨を竪縞に
安曇野の北に立ちたる冬の虹
時雨るるや小走りに行く日本橋
餅搗や妣の思いの八の日に 正月
籠り間の七彩映す冬の水
入り日まで野球する子の枯野かな
湧水や夕べにの餌すする
太箸やこぞよりつなぐこの命 新年
寒雀鉢の乾砂浴びにけり
繭玉の稔り象る妣の手よ 新年
2021/01/04 名小路明之 山茶花のゆつくり咲けよ白が好き
秋の海電車に溢るる反射光
冬薔薇の咲き頃今朝の食卓に
故郷や野沢菜漬くる頃ならむ
冬立つや三密車窓開け走る
道の駅ならぶバケツに秋の花
洋梨の熟るるしづくをのんどかな
秋雨や雨の多少を濃淡で
夕風に一叢揺るるゑのこ草
2020/11/15 名小路明之 石庭の祈る母子像晩夏光 夏後半
目比べを為合う子の夜の野分かな
江戸調子涵徳亭の蝉しぐれ 
とうすみの隅の小藪の住処かな
泥の手でを打ちそこね夕日かな
2020/11/05  名小路明之  小伝馬の寂びる裏みち花桔梗
    犬眠る午後や涼しき通し土間
鬼百合へ舞うがごとくに揚羽蝶
    捨て水も命の水よ秋揚羽
  我庭の秋海棠を供花(くうげ)かな
2020/09/19 名小路明之 この先は二輛列車やの国
安曇野の大地うるはしを食む
錦木の色重なりて浄土とも
澤の音消えて峠や紅葉狩
雁がねの棹の消えゆく甲斐の朝
安曇野の濃伏せをる夜明かな
中秋や雲にたゆたう舟は月
2020/09/04 名小路明之 籠る家に子より見舞いの柏餅 初夏
薫風やまはりはじむる有平棒 初夏
傘かかげ雨より守る白牡丹
雨上がりトップスピード夏燕
皇后の夏蚕育つや令和の世
月見草さゆらぎゆらぎ花開く
なめくぢり白き花弁をはふ夜かな
2020/07/11 名小路明之 春眠やかすかに触るる妻のこゑ
  のどけしや松風にのる二羽の
花の雲まぢかに富士山のおはしけり
      苧環の花へ疾風の八つ当り  
      青しぐれ禽くちばしで翅ぬぐひ  
  2020/07/01  名小路明之  変わらぬは常念岳よ風光る  
      初蝶来黄色の満つる日和かな   
      親愛の握手ひかへる桜人   
      春障子直屋隠りをつづけけり  
      鮫のごとき得体の知れぬ春の雲  
      三分雨の雫の染まりけり  
      亀鳴くやコロナウイルス忍びよる  
      足とられはたと転倒山笑う   
      引鶴の消えゆく空や翅の音 
      内裏雛子の並びゐる御座の卓 
2020/04/07 名小路明之 子の恐る寒柝の列うすあかり
剪定や後継ぎをらぬ果樹園主
いつのまに禽の餌となる白椿
の空四方に火矢の走りけり
春光やヴェネチヤ花器の花もやう
浜名湖の小舟のゆるる寒蜆
子の家の手作り味噌や今朝の味
返り花業平橋に立ち止まる
安曇野や室の大根の白きひげ
逆光にかすかな湯気やの屋根
湯煙のなぞる廂に氷柱かな
芭蕉像へ川風寒し小名木川
2020/01/13 名小路明之 野分晴くろずむ湖の反射光
澤の音消えて峠や紅葉狩
渓流の岩とび渡る橅黄葉(ぶなもみじ)
段丘を赤き林檎のひかりけり
千年をこゆる文化や秋気澄む
田の石をひねもす打てる添水(そうず)かな
夕餉あと命の水のをむく
子と囲む朝の食卓豊の秋
木曽谷のわずかな畑や蕎麦の花
曼殊沙華芽の伸びはじむ七日前
夕暮れの身を尽くし鳴く法師蝉
思い出の蚊帳にひとりやほのあかり
五目並べ子に二度負くる残暑かな
涼新た寝返りてまた眠りけり
秋草の花それぞれの位置をもち
ほほえみのミュシャの乙女のうすごろも
駒形の板の間に膳泥鰌汁
夏休み気温十度の地下空間
炎天や茹であがるとはこのことか
つながりて連峰となる雲の峰
2019/09/07 名小路明之 湯ばたけをあつむるや碧の壺
夏掛けや闇をしまひてねむらんか
紫陽花やときに色もの羽織りたき
アナベルの白花尽くす梅雨入かな
逝きし子の冥福祈る矢車の音  (子供の事故死への祈り)
夏至の野に日のおつるまで遊ばんと
威勢良き街の八百屋よ枇杷熟るる
2019/08/10 名小路明之 たかんなの朝掘りと知る夕餉かな  たかんな=筍 初夏
鯉のぼり常念岳の風うまからむ   常念岳(読み:じょうねん) 初夏
清里より残雪の富士また新た
は来ぬボタンダウンの胸に風
若冲の鶏の羽ばたく扇子かな
2019/05/19 名小路明之 飛花落花病もつれて散るといふ
春光や下界をのぞく鉄階段
花ミモザ三女も通ふ保育園
菜の花や国の生まるる頃の色
や一拍とまる登る足 初夏
2019/05/07 名小路明之 ぬか雨に沈丁の香のたたずみぬ
万歳の枯木や天に生を受く
瑠璃越しの鳥のあそべる日永かな
若冲の五彩の羽やショール
関八州北へひろごる春の空
2019/04/14 名小路明之 風花を吹き出す雲や麓まで
大寒を乗せて無口な列車かな
君の逝く旅の終着冬銀河
白鼻心鼠籠に入る寒の明
せがまれてディズニーに寄る雪女郎
冬至の夜天球しかと動きをり
床上げや土のにほひの小春の日
新道具そろへ意気込む煤払い
蒟蒻玉三年ものに土の精
笑はるるほどに着ぶくれハイキング
冬ざれや富士くろぐろと夜分け前
安曇野の動くものなきの朝
富士りんご村は収穫日和かな
いわしぐも空一面に風の形
鳥渡るゆめかうつつか鳥が呼ぶ
安曇野の伏せし濃の夜明かな
青天や林檎パリッと素手で割る
歯固やかち栗の皮歯で剥かむ 新年
2018/12/25 名小路明之 朝霧や音しんしんと木から木へ
奥社まで二キロとしるす落葉
見ごろにて庭の真中にの鉢
蓑虫や餌は足るるか蓑の中
秋雲の底ひを染むる入日かな
2018/11/04 名小路明之 秋あかね乱舞の園となりにけり
この先は二輌列車やの国
女王花時をあはする二輪かな
これがまあ朝から待てる今日の月
近寄ればまさに清らや草の花
2018/10/04 名小路明之 宿題を姉妹で競ふ夏休み
冬瓜の食べごろ今ぞ妣の味
甚平や年に一度のお披露目を
一陣の風の生まるるかな
溝萩やこぼれて棚に色そへる
秋の蚊を追いのがしたる四畳半
玄海を茜に砥げる秋夕焼
武蔵野や生まれはじむるいわし雲
田や畑へ野分の恵み蜻蛉島
今宵また湯舟にしづむ虫しぐれ
2018/10/04 名小路明之 ひいふうみ針先ほどのめだかの子
生きのびるための昼寝ぞ日曜日
戻りみち首に一筋ながる
空蝉落蝉ならぶアスファルト
垣越しに利きめ聞かるる蚊遣香
2018/09/20 名小路明之 蔵の米のうまさを醸しけり
渓の湯のあふるる音や額の花
オフィスまでビルの片陰選びけり
夏蝶の翅音まとふや庭弄り
夏の川巌に高きしぶきかな
妣(はは)の知恵闇に十薬干ししまま 妣は、亡くなっている母
薄暑洗ひ晒しを風抜ける
2018/08/12 名小路明之 老鶯や息一杯に鳴き尽くす
一瞬の黄揚羽まとふ庭いぢり
轟けるダムの放流渓若葉 初夏
境内の若葉の威厳木曽路かな 初夏
移植せる妣たんせいの白牡丹  妣は、亡くなっている母
安曇野や遠き前穂のはだれ雪
花吹雪すかしの衣となりにけり
翡翠を柴木の間に待ちにけり  翡翠 : かわせみ 初夏
健やかを天に願うて鯉幟 初夏
フェロモンをぬぐひ斷つるやの道 三夏
2018/05/07 名小路明之 啓蟄や襲(かさね)一枚脱ぐ躊躇
恋猫のほえてよこぎる荒地かな
大雨に誘はれ弥生涌きいづる
来たる空也の口に六仏
あたたかや妹をなぐさむ姉のゐて
2018/04/14 名小路明之 玻璃越しの鳥の遊び場光る
月と日の弥次郎兵衛なる枯野かな
冴ゆる夜のもゆる赤銅皆既食
料峭や法事の経を皆唱なう 早春
太陽と目くばせかはす福寿草 早春
2018/03/28 名小路明之 賽銭の小銭なくなる福詣 新年
床の間に橙飾る神の席 新年
冬青空人体透けて見えそうな
寒桜伯母の命日めぐり来る
遠い日や下駄スケートの痛きこと
2018/02/10 名小路明之 から松の金糸の枯葉肩に背に 晩秋
傘傾げあふ武蔵野の夕時雨 初冬
山の湯へ険しき道や枯尾花
朝五時の一人風呂なる雪見かな
湯けむりの湯屋にからまる雪景色
鎮守社へ風ばかり過ぐ神の留守 晩秋
運動会嶺までとどく大声援
遠富士の底に車列や冬紅葉 晩秋
の棹かぞふる朝の甲斐路かな
高みよりここは己が地高音
2018/01/04 小林幹房 新玉や国の行末案じらる
2017/12/07 名小路明之 我と在(ま)す半跏思惟像薄もみじ
名月の鎮もる古都を照らしけり
ペダル踏む斑鳩のみち秋桜
鰯雲太子の徳の今もなお
手つかずに土に眠るや古都の
2017/11/25 小林幹房 石蕗の常より早く咲きにけり
2017/11/15 名小路明之 地下世界問うてみたきや今朝の
男にもちょいとひと噴き香水
西瓜市四軒まわり試し喰い
清流の風をいざなふ秋扇
先人の知恵の遥かや星祭
削り氷の古き削り器削る音
白桃をほほばりけふの元気かな
長風呂や一人聞き入る虫時雨
一年がの一生今鳴けり
母守護に宇宙翔くるや流星
2017/10/23 小林幹房 雀追ふ大義を忘る案山子かな
2017/09/26 小林幹房 妻の留守庭訪れる黒揚羽
2017/09/21 名小路明之 故郷の赤錆炎ゆる鉄路かな
一寸の蜥蜴一瞬草の中
目の合うて金魚反転尾をふりて
炎天下揺るるや遠きガスタンク
や山麓つたふ神の音
2017/08/25 小林幹房 信なくて立っているのかこの案山子
2017/08/07 名小路明之 自動車に郷里のや連れ帰る
大空へ航跡自在つばくらめ
薫風やすれちがふ鳩すまし顔
六月やジャングルとなる庭模様
知らぬとてそこは危険ぞ雀の子
2017/07/28 名小路明之 平曲の朗朗ながる木の芽風 初夏
霾る(ツチフル)や視力低下をうべなへり 初夏
芝桜富士一山を引き立つる 初夏
静けさや宿の目覚めの木の芽雨 初夏
曜変の異彩やの薄明かり
2017/06/19 小林幹房 権力の私物化ありてに入る
2017/05/01 名小路明之 空と樹の間(あい)にふくらむ木の芽かな
鳥雲に豊かな山野見ずにゆく
春めくや魚は水面の様子見に
父の彫りし恵比寿大黒障子
一列に白帆のすすむ春の波
芽柳の見えざる風をとらえけり
試し酒の扇の仕草春の夜
名草の芽天地の恵み受けにけり
生と死のねむりの中の母の
松陰の終焉の地のかな
2017/04/23 小林幹房 万愚節嘘を考え日が暮れる
2017/04/09 名小路明之 暁の福茶の恵みいただきぬ 新年
故郷の道はかはらぬ恵方道(えほのみち) 新年
冬の月雑木林の(ひご)の中 新年
鼻先のしむるシベリア寒気団
親と子の似たる寝姿春炬燵
鳥居出づ元朝の日矢満ちて来し 新年
かるた終りの二枚並び替 新年
アルプスを越えてわきくるの渦
通勤の階段と駆け上がる
千の石の階(きざはし)かざりけり
朝風の染まり流るる八重桜
健やかを祈り節句の菖蒲剪る
子供らの浴衣の掛かる朝の居間
行く先も速さも自在鬼やんま
錦木の色重なりて浄土とも
2017/02/27 名小路明之 武蔵野の夕日のはぬる枯木立
百合樹の新生を待つ落葉かな
遠目にも銀杏黄葉の栄ゑにけり
陽光の楓紅葉を透かしみる
暁の外気は零度山眠る
2017/02/20 小林幹房 初場所や待望久し稀勢の里 新年
2017/01/04 小林幹房 暮の秋何を思案の盧遮那仏
2017/01/03 名小路明之 安曇野の大地うるはしを食む
故郷の墓を洗へり小糠雨
こまやかな形ひそやか野菊咲く
安曇野の山も麓も小春かな
色鳥や古屋の庭の草粗し
今年米頼む電話の声はづむ
故郷の思い出尽きぬ長夜かな
雲の割れて日矢濃き麓村
けふからは他人の住まひしぐれ
暁に染まる初雪常念岳
懸崖の小菊まなかや菊花展
その度に訳ある酒や神無月
時雨帰宅電車の窓潤む
晴れわたり脳へ刺激や文化の日
同期会終はる安堵やに入る
2017/01/03 小林幹房 おでん種君は一番何が好き
2016/12/10 名小路明之 枕辺へ波のとよもすの旅
朝の日矢桜落葉は円を描く
少年の声は森から小鳥来る
そこここに声甲走(かんばし)る花野かな
創作の余生となりぬ長き夜
2016/11/29 小林幹房 降りて緊張感の増す下界
2016/11/04 名小路明之 螳螂の構えてゐたる草の先
髭剃りの切れ味にぶる残暑かな
いちどきに台風三つ星病める
山畑に農夫の影や白露の日
中秋や雲にいざよふ月の船
鬼百合の気怠き顔の夕べかな  元は「百合」
都会では見られぬ勢ひ雲の峰
奥秩父大気吸ひこむ大夕焼
ひとり住む母の得意や土用灸
阿波踊り鉦鼓一打に構へけり  元は「踊り=盆踊り」
2016/11/03 小林幹房 紅葉して散り方のみを悩み居り
2016/09/29 小林幹房 県名を聞き引き下がる野分かな
2016/09/09 名小路明之 旅の果巽の空に夏至の月
よいしやよいしやと神の轍や御柱  本来は「御柱祭」
蝸牛よそ見のうちに失せにけり
女王花ゆうべ4輪の孤独かな  女王花=月下美人
夕焼ビルたくましくなりにけり
末の子の食事みる姉梅雨晴間
咲きほこる薔薇に神秘の深まりぬ
2016/09/08 小林幹房 新蕎麦や城は至高の薬味なり
2016/08/01 小林幹房 歳時記の新顔なるか熱帯夜
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