
◆ 2006年 明けましておめでとうございます (2006.1.5記載)
明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。
昨年も振り返ってみると様々な事件、事故、災害などがありました。新しい年には、穏やかな1年となることを願っています。
地震や台風など自然災害への備えは対応する方向は明らかで、財政問題など技術的な検討での対策が可能ですが、昨年末に発覚した姉歯元建築士による耐震強度偽装事件などのように、近年は人為的な事件が数多く発生し、こうしたものは発生した事象だけを見て対応しても、インフルエンザと一緒で、次々と形を変えながら事件として発生してしまいます。
勿論夫々の事象に対してもぐら叩き的であっても対策はとらなくてはいけませんが、何か根本的なところに問題があるような気がしています。
一つには我が国全体の様々なモラルが低下しているのではないかと思っています。元々我が国はモラルを規範にした「恥の文化」を持っていると言われていましたが、近年は欧米風の契約文化が浸透して、「恥の文化」はすっかり廃れてしまったように見えます。
欧米では神との契約に基づいた一神教的な信仰心がモラルの原点になっているようですが、我が国ではそうした絶対的な存在がなく「世間様に顔向けが出来ない」とか「お天道様が見ている」といったような、武士道精神から育ってきた人間的なモラルが規範になっていました。
近年はそうした意識が薄れ中途半端に契約的な文化を受け入れ、法律に触れなければ何をしてもよいと言うような風潮が強くなっているように見えます。
グローバルな時代で経済活動の上では欧米の仕組みを取り入れることは止むを得ませんが、長年培ってきた我が国の文化まで捨て去ってしまうことには抵抗があります。こうした我が国独特の文化を見直すことで失いかけている国民のモラルを取り戻せればとも思います。
また、儒教文化の真髄の一つとも言われる「和を以って貴しとなす」との考え方は、欧米的なデイベイトの世界とは違ったアジア的な文化だと思っています。争いのない社会のためにも、こうしたアジア的な文化の見直しも大切なことだと考えています。

◆ 松本市美術館 米倉館長と語る会 (H17.12.30記載)
美術館友の会が主催して、会員になっている松本市議会議員と米倉守館長との懇談会が開催されました。議員の会員は18名だそうですが都合のつかなかった一人を除いて殆どが参加しました。
特にテーマが決まっていたわけでも有りませんでしたので、米倉館長の話を聞いた後夫々の議員から、美術館や美術・芸術等についての思いを語り合い、館長との意見交換が行なわれました。
今のところ松本美術館は地方館としては入館者も比較的多いほうで、順調に推移しているように見えます。関係者の様々な努力があると思いますが、米倉館長の企画力や人脈に負うとところも大きいと思っています。美術品展示は他の館との貸し借りの中で企画が計画されますが、開設されたばかりの松本美術館には貴重な美術品もまだ数多く収蔵されているわけでは有りません。当面は館長の力量に期待をしながらの運営になります。
今回の懇談会は何か結論を出そうとする会議ではありませんので話題も様々でしたが、美術館関係者の心配は最近各地の美術館でも採用され始めている指定管理者制度の方向にあるような気がしました。
松本市ではまだ美術館はこの制度の採用は検討されていないようですが、館運営の効率化の上ではいずれ検討の遡上に挙がってくるかもしれません。
この美術館や市民芸術館も含め、松本市には数多くの文化施設があります。地方自治体の財政状況が厳しくなっていく中で、こうした文化事業にどの程度予算を配分するのかは議論の分かれるところです。文化活動は採算には乗り難く、地域文化の維持・向上を考えればどうしても行政の支援は必要です。ただ、まったく今のままで良いとも思えませんので、どうしたら文化活動の質を落とさず、効率的な運営が図れるのかの検討は必要です。
もう一つの考え方は、従来文化施設は、文化活動の視点だけで議論されてきましたが、今後は観光も含めた地域全体の資産としての捉え方が必要だと思っています。文化施設だけでは採算が取れなくても、地域全体の文化向上や、それによる誘客効果、松本市のPR効果による地域活性化など幅広い捉え方での検討が必要です。
例えば、サイトウキネンフェスティバルには松本市も毎年1億円を超える支援をしていますが、そのために向上した地域学校の吹奏楽のレベルは目を見張るものがあります。また、地域へ与える経済効果もかなりにますし、クラシック音楽の世界では松本市の知名度は世界的になっています。
しかし、今後こうした文化事業に大きな予算の配分をすることは益々難しくなっていきますので、知恵を出すことが重要になってきます。民間のノウハウも活用しながら、市民の協力や新たな発想による知恵によって地域の文化向上を図っていきたいものです。

◆ 精神障害者グループホームが開設(H17.12.27記載)
NPO法人ハートラインまつもとが松本では2棟目の、病院以外で運営するグループホーム(ハートラインことぶき)を開設しました。県、市からの補助を受けて寿の市営住宅を取り壊した跡地に松本市から土地を借りて建設したものです。こうした施設では珍しい新築で、併設の共同作業所も含めて総事業費(約)5,200万円程です。入居者は6人で職員はグループホームに2人、共同作業所に2人の体制でスタートするそうです。
近年ようやく精神障害者が病院から出て地域で生活することが認知され始めてきてはいますが、まだまだこうしたグループホームへの理解は十分では有りません。このNPOでも数年前、初めてのグループホームの建設が計画されたときには近隣の反対で断念した経験もあります。
一棟目がNPO関係者の熱意や松本市の担当課の支援、地主、大家さんの理解で里山辺に建設され、周囲にも理解が広がってきたことが今回の建設に結びついたものと思っています。
開所式での地元町会長さんの挨拶から、この地域では多少の心配はあっても表立った反対意見は無く、暖かく迎え入れて頂けそうです。精神障害に対する差別や偏見は知識が無いことから生まれています。こうした施設を通して障害者全体への理解が深まることを願っています。
しかし、精神障害だけでなく知的障害や身体障害など、障害者とどのように触れ合ったら良いのか戸惑う人が多いのも事実です。一朝一夕には行きませんが市民に理解が広まるような活動に根気強く取り組んでいこうと思っています。
共同作業所は喫茶店を運営していますので、近くに行ったら寄って見てください。

◆ SK松本ジュニア合唱団クリスマスコンサート (H17.12.26記載)
当合唱団が一年の集大成として毎年開催している「クリスマスコンサート」が、長野県松本文化会館大ホールを会場に開催されました。
第一ステージは「Happy together!歌うの大好き」と、子ども達が歌いたい歌を選びながら作り上げてきたステージで、歌うことの楽しさを十分に聞かせてくれました。
第二ステージは「聖夜〜祈りの時間 権代敦彦さんを迎えて」とのテーマで、クリスマスのふさわしく、権代敦彦氏作曲の宗教曲を演奏しました。
ゲストには日本の若い世代を代表する作曲家、権代敦彦 氏、松本市音楽文化ホールのオルガニストで日本オルガン研究会の会長も勤める、保田紀子
氏、日本トランペット協会理事で上野の森コンサートマスターの曽我部清典 氏と我が国でも一流の音楽家を迎えての演奏会になりました。
第二ステージの権代敦彦氏作曲の宗教曲は聴いていても大変難しい曲でした。練習を始めたときはどうなることかと少し心配もしましたが、大変すばらしい仕上がりになりました。こうした難曲に取り組んだり、一流のアーティストとの共演は、この合唱団の血となり肉となって、次のステップへの階段を登っていくことでしょう。
合唱団のホームページ(クリック)
団員募集
一緒に歌ってみませんか
当合唱団では団員を募集しています。
一月は、下記の日程で練習しています。気軽に見学にきてください(小学生、中学生、高校生)
1月8日 10::00〜12:00本郷公民館
1月14日10:00〜12:00松本文化会館
1月22日10:00〜12:00松本文化会館
1月28日14:00〜16::00岡田公民

◆ 予算編成過程の公表 (H17.12.22記載)
松本市では新しい試みとして、予算の編成過程を開かれたものにするため、新年度に各部局から新たな予算要求のあった事業について、市民に公表しながら意見を求めることになりました。市民からの意見は予算編成時参考にされ、結果を公表すると言うものです。
市長が新たに掲げる3Kプラン(健康づくり、危機管理、子育て支援)やその他の事業と分類して事業概要と共に予算額が示されています。
新しい試みで、市民と一緒に考えて行こうとの市長の思いがよく現れた事業です。行政内部のブラックボックスを少しでも見える形にしようとの試みはこれからの方向として大変良いことだと思っています。
ただ、公表された資料を見てどのような意見を言ったらと思うと、なかなか難しいものです。挙げられた事業自体は当然実施に移されれば良いことは分かっていますが、しかしこれらの事業を新たに行なうためには、過去のように年々財政規模が拡大する事が出来ない現状では、何かの事業を削ってその財源を捻出しなければなりません。
新規事業を行なうためには、当然削減される事業もあるわけですし、全体として予算のバランスがどの方向に移っているのかも見なければなりません。それらを比較しながら何が市民のためになるかの検討が必要です。今回の資料だけでは物事を片面からだけ見ているようであまりしっくり来ません。
初めての試みでなかなかパーフェクトとは行きませんが、こうした事にも配慮しながらより良い制度になるよう、改善をして行かなければなりません。

◆ 定例会最終日に懲罰委員会が設置 (H17.12.20記載)
議会は何が起きるか分からないとは言われますが、私にも初めての経験です。12月定例会最終日にハプニングが起きました。
本会議で議員提出の意見書を審議している中で、吉江議員から「松本市議会本会議場入り口で上條洋幹議員から吉江議員が突然襲われる事件が発生しました」との発言があり、それを受けて上條洋幹議員から、そのことはまったく事実無根であり、発言によって議員の名誉を著しく傷つけられたとの趣旨から、吉江議員に対する「処分要求書」が議長宛てに提出されました。
それを受けて10人の委員からなる懲罰委員会が議会の中に設置されることになりました。12月定例会は終了しますので、懲罰委員会は継続審議の手続きをして本会議閉会中に審議を進めることになりました。
懲罰委員会はこれからの審議ですからどのような展開になるかは分かりませんが、審議には二つのポイントがあります。一つは事実関係の確認です。襲われたとの事件が事実であれば処分要求は成り立ちませんが、事実無根であれば吉江議員の処分をどうするかがもう一つのポイントになります。
事件は本会議場の出入り口で発生し、周囲には大勢の議員がいましたので事実関係は早めに明らかになると思います。規定によると処分の内容は戒告などの軽いものから議員の地位を失う除籍まで4ランクがあります。
個人であれば笑って無視できるかも知れませんが、議員は市民の付託を受けているとの自負があり、公人の名誉は付託してくれた市民の名誉でもありますので簡単には引き下がれません。こうなってしまった以上は大方が納得できる解決にして行かなければならないと思ってはいます。
吉江議員の発言内容 処分要求書

◆ 市民芸術館運営審議会 (H17.12.19記載)
12月定例会一般質問からの話題です。
政友会の柿澤議員から、市民芸術観運営審議会は平成16年10月に第一回目が開催されてから1年以上、13回の会議が開催されているが一向に内容が明らかになって来ないことや、館の愛称についても公募は行ない多数の応募があったと聞いているが、結果が発表されておらず、どのようになっているのか、などについて質問がありました。
市長からは(館の運営方針などは)簡単に結論の出せる問題ではなく、議論を見守っていきたい。との答弁がありましたし、担当部の政策部長からは愛称についてはしばらく様子を見たいとの回答がありました。
現在の運営審議会委員の任期は2年ですが、審議会の設置目的からして1年に一回くらいは現状の館運営等について市長や市民に意見を、中間報告という形であっても公表することは必要のような気がします。館の運営、自主事業や貸し館事業等、一回結論を出せばそれで終わりと言うものではありません。
市民芸術館が運営されていく限り、社会の変化、松本市の財政力の変化、市民の要望など様々な要因を加味しながら、館運営の改善に意見・提言をしていくことが審議会設置の目的だと思っています。
市長はもう少し見守っていくつもりのようですが、私としては審議会には最終的な結論を出すのではなく、現状を踏まえてどうしたらより良い方向に向いて行くのか、1年の区切りでもありますので一度提言書のまとめをお願いしたいと思っています。
愛称についてはどのような経緯があったか承知はしていませんが、「市民芸術館」の名称を決めるときに、「市民館」とすべきとの意見に対して、議会にはこれは条例上の名称で早急に愛称を決めるので市民芸術館で進めたいとの説明があったと記憶しています。まして愛称の公募まで行なったとなれば早めの決定か、それが決定できない事情を市民に明らかにすべきでしょう。
どちらの問題も根っこには市民館立替時のごたごたがまだ尾を引いているような気がしています。市民を2分しての議論がありましたので、まだその時から抜け出せないでいるのかも知れません。どちらにとっても将来に向けての議論を進めて欲しいものです。

◆ 産業振興部局の強化 (H17.12.16記載)
12月定例会一般質問からの話題です。
政友会の牛山議員からの農業政策強化を求める質問に答えて、市長から新年度に向けて商工業も含めた産業振興を強化するための組織の再編成を検討していることが明らかにされました。
私も産業振興とそれによる雇用の安定は、自治体経営全ての基礎となるとの認識から産業振興策の強化を求めてきました。前議会の9月定例会でも、長野市で新たに設置された産業振興課の例も取り上げながら、組織の見直しを主張してきた経緯もあり、次年度からの組織がどのようなものになるのか楽しみに見守って行きたいと思っています。
特に松本市では比率が高い割には工業などものづくり産業は、従来行政に頼ってこなかった分、行政との関係や行政内部での関心が薄かったのが実情です。企業の発展は基本的に自らの責任で行なうことは当然ですが、しかし地域の視点で見ると、優良企業が条件の良い地域に容易に移動することは現在では一般化してきています。
産業活動がしやすいようなインフラを整備しながら、地域間競争を有利に戦っていくことも現在の行政に求められている重要な政策です。民生の重要性は当然ですが、市長にはそれだけに偏ることの無いバランス感覚を期待したいと思っています。

◆ 旧勧銀ビルについて (H17.12.13記載)
12月定例会が始まり、理事者提案の議案審査に先立って行なわれる一般質問からの話題です。
市民の保存運動が盛り上がってきている旧勧銀の保存運動について、銀行側からは後利用や取得の方法、取得の主体などを明確にするよう求められていて、その期限が12月末になっています。
議員からの要請にこたえて、市長からは行政が取得することは難しいとの従来からの主張は変わりませんでしたが、市長から銀行側にその期限の延長を申し入れることを検討してみたいとの、従来より一歩踏み込んだ発言がありました。
銀行側が市長の要請を受け入れるかは分かりませんが、市長の判断としては良かったと思っています。過去2年以上地元を中心に、施設の後利用を検討してきて、殆ど進展がありませんでしたが、この所の何ヶ月で急激に市民運動の盛り上がりが見られます。銀行側にしたら、何を今更との思いもあると思いますが、松本市長の要請であれば無碍にも断れないかも知れません。
3億円と言われる調達資金が何ヶ月か期間を延ばしただけで調達できるとも思えませんが、市民の熱意が認められるような状況や新しいアイディアが生まれてくれば、行政としても支援をすることは必要ではないかと考えます。ただ行政に頼るだけでなく、自らも精一杯努力しながら、行政とも共同して事業を進める。それこそが市民協同で、成功すれば市民活動の自信にもつながるのではないかと思います。
期限もありどのような展開になるか予断はできませんが、注意深く見ていきたいと思っています。

◆ 開戦の教訓を生かそう (H17.12.11記載)
12月8日の開戦記念日が過ぎた今日の信濃毎日新聞に「開戦の教訓を生かそう」との見出しで、信毎主筆 中馬清福氏の署名記事が掲載されています。
終戦記念に比べて開戦の日は年々扱いが薄れてしまっていることに、終戦以上になぜ開戦に至ってしまったのかの経緯を見直すことが大切との視点からの記事です。
その中では、開戦当時から終戦まで記載されて残っていた「機密戦争日記」を引き合いに、大本営内部から見た開戦に至るまでの経緯が生々しく記載されています。
実際の日記を要約した内容で、開戦に至る経緯はその記事ほど単純なものではないと思いますが、記事によると、開戦10日前の11月29日に首相から開戦の了解を求められた時には、9人の重臣の内、同意したのは3人だけだったそうです。最終的には説得によって全員が同意して開戦が決定しています。
この記事を見て驚くのは国家の重大問題の決定が成されるにしてはあまりにも泥縄だったことです。
もう一つは、どのような説得がなされたのかは分かりませんが、当初開戦には慎重だった重臣が容易に説得を受け入れたことです。
多分国民の世論もナショナリズムの高まりがあって、そのような方向に動いていたかも知れません。当時であっても国を指導するほどの人であれば対米開戦がどれほど危険なものか分かっていたと思いますが、それにもかかわらず、周りの雰囲気や世論に押されて開戦に踏み込んでしまうのは、いかに信念を通すことが難しいかを思います。
我々議員は市民の代弁者ではありますが、単なるボイスチューブでは代議員としての役目は果たせないと思っています。長年の歴史の中で育ってきた現在の代議員制民主主義は、一部不都合も指摘はされていますが、全体的には優れた制度です。現在の制度の利点を生かすためにも我々議員が日頃の自己研鑚を重ねることの重要さを考えさせられた記事でした。

一緒に考えよう
松本市のこと

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