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【大変参考になりますのでコピーさせていただきます。
2004-08- 開始
2004-12-09 誤字訂正 《一応 ”完” 》】
TRIO RADIO CLUB 1955年第9号からの抜粋です。(内は追加コメント)
発行 春日無線工業東京研究所
編集発行人 春日二郎氏
1. 真空管
短波だから高能率の球を使いたいと張り切って、まだ使ったことの無いハイgm管などをずらりと並べる紙上プランは楽しいものですが、使ってガ
ッカリ、発振の押さえようもなく、数日かかって発振を止めたら、蚊の鳴くような声しか出ないというようなことが極めて多いものですから、一度は必ず 平凡な球で完全に鳴らして、次の段階に、これをハイgm管なり何なりに変更して実験してみるという道すじを通るべきです。第1図の球は、6D6、6W- C5などという、古くさい球ですが、こんな球でやるのも以上のような理由からです。もちろん個々に使用した球に相当するGT管やmT管を使うのは何ら 差しつかえありません。
2. 回路
数台の製作に味をしめて、今度は少し新規な方法でやって見たいと、あちらの本こちらの雑誌から、変わった回路を引き出して、新回路ならぬ
珍回路を案出している人がずいぶんいます。しかし高能率なラジオは新回路によってできるものでなく、極く平凡な回路でも、これを合理的に組立て て、完全な調整を行なうことが最も大切で、新回路は平凡なものをよくマスターした後に手を加えて試みるべきものと思います。なーんだありふれた 回路、と思う人も、本当にそれを我が物にしているでしょうか。特に初めて作る方は、最も標準となる回路を選ぶべきで、第1図 (注6D6-6WC5-6D6- 6ZDH3A-42- 80-6E5の3バンドラジオ) はこの意味で、どなたにもおすすめできるものです。
3. 回路の疑問
(1) 「高周波増幅間はコイルを通さず、6D6のグリッドを250pFのコンデンサーできって1MオームからAVC電圧を加えるのは」。
短波帯のコイルは巻数が少なく、特にDバンドなどは5回位しか巻いてありませんから、同調回路内の配線は、できるだけ短くしなければなりませ
ん。もし5球スーパー式でやりますと、同調回路内にQの低いチューブラーが入り、しかも規定とおりの長さになかなか配線できません。その上チュー ブラーには、ナチュラル(固有周波数)があるので、その周波数で障害が起こりやすいのです。本図のような並列き電式で行いますと、抵抗を高周波 型か1/4Wさえ使用すれば何の心配もいりません。ただ、ここに大型抵抗を用いますと抵抗の持っているナチュラルのためにデットポイント (死点とい って感度のなくなる点) が生ずることがあります。
(2) 「6W-C5にAVCをかけてありませんがなぜですか」。
6W-C5へAVCをかけますと、AVC電圧の変化でG2、4の電圧が変わり、このために発振周波数が浮動するので、特に安定でありたい短波帯ではA
VCをかけないほうが安全です。また10MC以上ではG3電流が流れることがあり、AVCに接ないでいると感度低下の原因になります。RFとIFで充分 AVCは働きますから、変換管にはAVCをかけないほうが安全です。
(3) 「6ZDH3Aのカソード抵抗は入れたほうが良いのか悪いのか」。
是非入れてください。カソードを直接アースして、三極管のグリッドへ5Mオーム位の高抵抗を入れるグリットリークバイアス法は、入力が大きくなると
歪が球に増して来ます。又、カップリングコンデンサーの絶縁も問題になってきます。VRがスムーズにきかないのはこのためです。10mV位の低レベ ルで働かせるプリアンプでさえ、リークバイアスの歪を問題にしはじめています。--安価な12Fなどの5球スーパーだけにリークバイアスをお使いくださ い。
10μFの電解コンデンサーに0.01μFのコンデンサーが並列に入っているのは何故ですか。
電解コンデンサーは周波数が高くなると電流が通り難くなります。又、ナチュラルを持っています。従って、短波受信機には、ケミコンにバイパス (側
路) が必要になるのです。 (本機では減結合回路にパスコンを使用してある)
(4) 「コイル(パック)の配列が、ANT-RF-OSCになっている理由は」。
一度使ってみればこの配列が最も合理的なことが解かります。配線が交叉しない。最短に配線できる。OSCとANTが遠いので、局部発振を外部
へ発射することが少ない、などが主なる特徴です。局部発振を別にしたセパレート方式の時は、これと正反対の配列が用いられます。OSCを中に挟 む方法はおすすめできません。
(5) 「高周波にはチューブラーよりマイカの方がよいといわれてますが」。
その通りで、ナチュラルの問題になるチューブラーはなるべく短波受信機の高周波には避けたいものです。しかし、実際には、チェリーとかルビーな
どの有名品では、充分23MCまでなら実用になりますので、本機はチューブラー型を使いました。
(6) 「中間周波トランスに広帯域を使って音質の良い3バンドを作りたいとおもいますが」。
短波帯ではなにより混信が問題ですから、分離の悪い広帯域 IFT(広帯域と選択度は両立できない) では無理で中帯域のトリオT−6とかT−20な
どを使うべきです。多少高音が欠けてもよければT−11型2段用狭帯域にすれば感度も分離もすばらしいセットになります。
4. 配置のキーポイント
配置が何より大切です。配置のキーポイントは、頭と尻尾を近づけるなということです。
たとえば6D6 (RF) と42を近づければ必ずブーブー発振します。6W-C5とDH3Aを並べれば910KCと1365KCでブーブー唸ります。従って、平凡ながら
実体図のような配置が最もよいわけです。これは検波された後にも中間周波や高周波が少なからず混入しており、入力側より大きく、しかも位相が ずれているので、悪い配置ではこれが元に戻って発振するものです。パーツの取付けは実体図を見ていただけばわかると思いますので省略いたし ます。
5. 配線のキーポイント
高周波回路のアースはニアバイアースで。ニアバイアースというのは最短距離でシャーシーへ接続することです。俗にいうワンポイントアースと
いう方法はアース線が長くなるのでストレーインダクタンスが増しさまざまな障害が起こりますからやめてください。遠慮せずにバリコン、コイル、抵 抗、チューブラーなどドシドシ最短距離でシャーシーへ接続して下さい。シャーシーが鉄なら、アース点をよく磨いて直接半田ずけして下さい。ニューム なら卵ラグをスプリングワッシャーでしっかり止めてこれに半田ずけします。ラグとラグは1ミリ位の銅線で接続しておいたほうが良いでしょう。
バリコンはセクション毎にニアバイアース。 三連バリコンは各セクション毎に3つの異なった電流が流れているのでアースリードを1本にすると
3つの電流がこの中を流れて干渉し、発振したりさまざまな障害の原因になります。又このリードをシャーシーの下に引き込んでソケットの近くまで延 ばす人がいますが、このリードがインダクタンスを持ち、隣のリードと干渉してトラブルを起こすことがあります。シャーシーは非常にローインピーダン スですから共通につかっても心配は無いのです。
ヒーターは2本撚り合わせて、DH3Aと6WC5のところでアース。5球スーパーなどでよくやるヒーターの片側をアースライン代用にするのはいけな
い。必ず2本で行い、DH3Aのところでアースします。ところが3バンドのときは、ヒーターとカソードの容量を通じて6D6と6W-C5とが結合することがあり ますので6W-C5でアースしておけば障害は起きません。Dバンドの中途で異常発振の起きるときは、この方法で殆ど直ります。
半田付けのキーポイント。 引張って抜けるような半田付けは雑音のもと。いつも半田ごては半田メッキされてピカピカ光っていなければいけな
い。酸化して黒くなったこてをいくら長くつけても熱は酸化膜に遮断されて美しい半田付けはできません。抵抗や、チューブラーのリードはニッパーで 一度表面を磨いて生地を出し、ペーストを少し付けて半田メッキしておきます。一方、ソケットやラグにも半田メッキしておけば気持ちよく半田はとけあ ってかたく付いてしまいます。(以下略)
6. 異常対策
異常現象があったのでは調整はできませんから、起こりそうな各種の現象について列記してみましょう。
(1) 全バンドにわたって放送が入るたびにピーピーとビートが聞こえ、マジックアイが閉じっぱなしのとき。
これは中間周波の発振です。6SK7ならソケットの1のピンのアース忘れ、6BD6なら、ソケット中央のアースピンのアース忘れなどが最も多く、これら
が完全で、しかも、発振する時は真空管の不良又はIFTのインピーダンスが高すぎた設計になっている為ですから、カソード抵抗を1kオーム位に上げて 安定させます。パスコンを外すと一層強く発振することがあるので、外さない方が良いと思います。
(2) 中波帯でバリコンを入れると行くと唸る。中間周波回路と高周波回路の干渉です。原因はアンテナコイルのリードがIFTの2段目付近を通過
している時が最も多いようです。これはシャーシーの隅にそわせてください。どうしても止まらない時は、中波帯のRFコイルの一次線PB間へ50pF位 のマイカコンデンサーを入れてやれば安定します。
(3) Bバンドは良く聞こえるがDバンド(8-23MC)で低周波端で発振が止まり放送が入らない。
発振グリット抵抗20kオームのアース側へ1mAの電流計を入れて計ったとき、マツダの球では第5図(中波帯 100Vで500-550μA位。50Vで400-450μ
A位)のようになります。もし、Dバンドで発振しないときは、前述のニアバイアースを守らなかったのではないか、特にバリコンのアースを引き延ばした ときは必ずとまります。発振グリットのコンデンサー100pFがQ不良のときも発振が不安定になります。6W-C5のG2,4のパスコンを入れ忘れていること もあり、これの容量がぬけている不良品もあります。何といっても多いのはニアバイアースせずワンポイントアースしたときです。
(4) Dバンドで特定の周波数でポコリと聞こえなくなり、そこを過ぎると入って来る。
前と同じく、バリコンその他をニアバイアースをしない為です。ワンポイントアースはハムを出さないために低周波で行なうもので、高周波には不要
です。
(5) Dバンドの感度が低い。
同調回路のインピーダンスを高くとれないので、どうしても中波やBバンドのように感度がとれませんが、よく調整すれば、それほど目立って低感度
ということはありません。第4図(各バンド別のアンテナ入力/受信周波数)は完全に調整したときの各バンドの感度特性です。同じ出力を出すための アンテナ入力電圧を記録したもので、カーブが低いほど高感度ということになります。(Aバンドは3位 Dバンドは10-25位(単位の記載無))
(6) スイッチを入れた直後と20分過ぎたときとでは、同調点がずれる。T−11のとき一層感ずるのはIFTが不良ではないか。
これは発振周波数がスイッチを入れた15分位の間浮動するためです。原因は6W-C5の電極構造が、ヒーターの熱のためにしばらく変化するため
に、発振周波数が変わり受信周波数が動くのですが、広い帯域のIFTでは帯域内の変化ですから、音質が悪くなるだけですが、狭い帯域のもので は、ずれが帯域の外に出てしまうので、ダイアルを回さないと聞こえなくなります。このため、15分間位は安定しないのです。IFTが動くのではありませ ん。
(7) 短波帯で奇声を発生する場合の処置は。ギャーとかキーとか短波帯の一部で奇声を発するときは。
6W-C5のグリットコンデンサーを50pF位下げれば止まります。あまり小さくしすぎるとバンド内の発振電圧の差が大きくなるので50pF位が限度です。
調整については紙面が尽きてしまいましたので別稿で詳しく書くことにしてこのセットに要する部品表を掲げておきます。(以下高1中1の部品表)
サービスノート ノイズ(雑音)について
ラジオを明快に受信するには、ノイズの少ない受信機を作らねばなりませんが、それにはノイズについていろいろ知っておく必要があります。そこ
で、ご質問いただいたなかから、いくつか取出してお答えし、参考に供したいと思います。
(1) 中間周波を2段増幅したところザーという雑音が多くなりました。どこが悪いのでしょうか。
アンテナを外してこの雑音がなくなればそれは外来雑音で、受信機の利得が上がったために特に目立ったようになったもので、これは外部の雑音
をさがして、これを止める以外方法はありません。アンテナを外してもザザーが止まらない時は、中間周波段の増幅度が大きすぎるためです。受信 機のなかで最も雑音を発するところ変換管と同調回路です。ここから発生する雑音電圧はどうしても無くすことはできません。ですから、この雑音電 圧が耳ざわりにならない程度ににしか変換管以下の利得を上げてはいけないのです。中間周波や低周波の増幅段数をむやみに増して感度を上げ ようとするのはザーザーを大きくするだけで何の価値もありません。IF2段とか3段にするのは特性曲線を良くするのが目的で利得を大きくするもの ではありません。ですから、2段以上の増幅をもつ中間周波回路には利得調整として、カソード抵抗を可変にし、前段から出るノイズ (セットノイズ) が 苦にならない程度に下限してきくべきです。
(2) バンドを切り替えるとセットノイズの大きさが、低いバンドほど多くなるのはなぜでしょうか。
同調回路から雑音電圧が発生するのは前にいいましたが、その大きさはこの回路のインピーダンスがに比例します。インピーダンスは周波数の低
い回路ほど高くなり、中波帯の同調回路から発生する、雑音電圧は変換管から発生するノイズ電圧と同じ位大きなものです。ノイズの少ない球を使う ことはよい受信機の設計に大切なことですが、中波などでは、回路雑音が大きいので、球の雑音など、ほとんど問題になりません。5MC以上で、は じめて球の雑音が問題になります。
(3) シクナマックス(プリセレクター)を取付けたところ、シグナルも大きくなるが、雑音も大きくなる。これではS/N比が改善されないと思う
が如何。いくらシグナマックスが優れていても、外来雑音のなかから、シグナルだけ取出して増幅することは不可能です。外来雑音といえども、一種 の電波ですから、利得があがればシグナルと共に大きくなってしまいます。SN比の改善というのは、変換管から出る雑音より小さな入力では、変換 雑音のかげにかくれてしまうので、RF増幅でシグナルを変換ノイズより大きくして、変換ノイズ電圧より大きくして、変換ノイズにかくれていたシグナル を浮き上がらせるためのもので、セットノイズ対シグナルノイズ比の改善であって、外来ノイズ対シグナル比はシグナマックスでは変えられません。
(4) それでは外来ノイズを少なくする方法はありませんか。
受信機の雑音は受信機の帯域幅 (選択度) に比例します。ですから音質を特に高忠実度にする必要の無い遠距離受信用ラジオでは、できるだけ
帯域幅の狭い IFT、たとえば1段用ではトリオ T−6型、2段用では T−11型などをご使用になれば、ノイズの少ない、分離の良いラジオができま す。しかし、音質に重点を置くローカル局受信用ラジオでは、雑音と信号のひらきが大きいので、帯域幅の広いものがよいと思います。このように中 間周波トランスは雑音にも関係がありますから、受信機の使用目的に応じたものを選んでください。
中間周波トランス
(1) 実効Q表示は誤りか?。
中間周波トランスの特性表に実行Q90などと書かれている物がありますが、掲げられた特性曲線とこの、この実効Qによる計算値と必ずしも一致し
ないところから、これは実際の使用状態におけるQの意味でないらしく、単にコイルのQの他にコンデンサーのQをも含めた値ということのようです。 使用状態では段間用は真空管の入出力インピーダンスの影響があり、検波用では、2極管が負荷されるのでQは半分位に下がります。従って、使 用状態でのQは各段毎に1次側2次側共に異なった値を持ち、一口に実効Qいくらとは言えないはずです。使用状態でないQを実効Qと銘打つのは 誤りでないかと思います。IFTの特性はQの他にM( 結合度) 、L (インダクタンス) によって定まり、Qだけ取出しても良否判定の目安になりません。 良否は、実際に表れる特性曲線で定まるのです。尚単峰特性で得られる最大の帯域幅 (−3dbのところの幅) は、±1.4f/2Qで計算できます。たとえ ば実効Q100の単峰IFTは1.4×455/2×100=±3.1KCです。いろいろな数字を入れて計算してみてください。
高忠実度受信用可変帯域中間周波トランス T−18に関するご質問について
T−18可変帯域 IFTは発売以来ラジオ界にセンセイションを巻き起こし、最近ではメーカーのセットにもこの種の IFTを用いたものも現れる程に関
心をもたれて参りましたが、これにともない、色々御使用上の質問が参りますので、この中から特に問題になるものをピックアップして今後御使用に なる方の御参考に供したいと思います。T−18は第7号で、これを用いた、家庭用の電蓄の作り方を御紹介した際に説明いたしましたが、7号を見 ない方のために簡単にお話しますと、スイッチの切替により、±3KCと±12KCの2段にきり替えることができます。このIFTを使用しますと、今まで 高1を抵抗でQダンプして帯域を広げて混信を我慢しながら、高忠実度受信を楽しんでいた人もも混信無く10KCまでフラット、−3dbで12KCという すばらしくよい音質のスーパーができるのです。しかし、スーパーですから、高1のように作りぱなしでは良い性能は得られませんで、調整中に思いが けないこともあるわけです。
マジックアイで帯域のの拡がり具合をしらべてみると、図のような (富士山型の頂部に3山) 形にならず峰が1つになりますがIFTが不良で
はありませんか。
説明書の新版にはこのことを書き入れましたが、三峰特性はIFTだけの特性ですから、アンテナを付けて放送を受信する時はアンテナの同調回路
の特性も、これに統合されますから、もしアンテナコイルを30ないし50オーム位でダンプしない時は、IF特性と同調特性が総合されて図のDのよう な (三峰の中央部が突出) 形になります。 又、ダンプした場合でも。3点の単一調整が不完全なときは、同調特性の中心がIF特性の中心に来ない ためにBもしくは(455kHzの下側が突出)Cのように(455kHzの上側が突出)なります。厳密には正しく、単一調整できる点は、3点だけですから、その他 のところではB又はCのように多少ビッコになります。しかし3db以内のくるいは、音として耳に感ぜられない程度の変化ですから気に病む必要はあり ません。トラレスVCをつかえば全バンドにわたってよい特性が得られる筈です。
マジックアイで特性を調べるときは以上の点にご注意ください。
AのようにならずE(中央がくぼんだ)のようになりますが何故でしょう。
2極管の負荷が規定より低い場合には、3段目のIFTの特性が鈍くなり中央がくぼみます。もし、規定値にしてもこのようになる場合製品が規格ピッ
タリにできていないと思われます。製品はどんなに精密に作りましても少しの誤差は生じますが、中心が凹む(E)、又は凸(D)の高さは1dbを超えない ように作られております。気分の問題ですが、どうしても頭部をフラットにしたい場合は、IFTのBの内部に入っている抵抗値を変えれば、負荷抵抗値 が、規定以外のときでも正しい特性が得られます。
広帯域に切り替えると雑音が多くなりビートが入り、決して良い音質になりません。また低音が出なくなります。
この御質問は相当多いようです。説明書には明記してありますが高忠実度受信のできるところは雑音が少ない、電界の強い場所に限られます。信
号強度と雑音電圧のひらきの少ないところでは帯域が広くなるほど、雑音は強く入るので、雑音の入るようなところではT−18を使用してもたいして 効果はありません。又、低音が出なくなるように感ずるのは高音が延びるからであって、決して出ていた低音が出なくなるのではなく、そのような感じ にになるのです。
HiFiスピーカー、HiFiピックアップ、HiFiアンプキットなど多く出ておりますがどんなものを選べよいでしょうか。
好みもありますので断定はできませんが、研究所へ来るHiFiマニアの批評では、6吋半がブリランテ、8吋がパイオニアのPE−8、複合型では、パ
イオニアのPAX12Bなどが推されています。ピックアップ(この項略)
アンプに使用するチューナーには、T18を御使いください。高1チューナーに限るという人もいますが、高1では東京から50km離れると、もう実用性
を失いますからほんの特定区域だけのものです。
Q5’er (キューファイバー) キット
アマチュア無線のバンドが開放されましたが、何千局という数では狭いバンドですから当然混信問題が起こります。Q5’erというのは、一たん
455KCに変換された中間周波をさらに第2変換回路で50KC位に低くして、鋭い選択性を得ようとするもので、いわゆるダブルスーパーにするもので す。Q5’erという名称はQRK(明瞭度)1を5にするものという意味で混信でほとんど聞こえなかった内容が、明快に聞こえてくるというわけです。トリオ Qファイバーキットは50KCIFT2本、405KC OSCコイル、405KCピックアップコイルがキットになったもので、選択度は2KCで31dbという鋭さです。主 として電信用ですが電話にも使用できます。シャープな選択度を得たい方はお試しください。
入門者に適した3球再生式ラジオの作り方 春日仲一
初めてラジオを作ろうとする方は、どんな方式のものがよいか迷われると思います。このごろ、初めから5球スーパーを手がける人も多くなりました
が、私はここに書きました3球などから始めるのが勉強の順序として最もよいと思います。カットの写真は小学2年生の子供が、下の実体図 ( 6C6- 6ZP1-12Fのいわゆる並3) を頼りにハンダ付けしているところです。1日2時間位ずつ、4日間で完全に鳴るようになりました。このラジオは目下ベッ トラジオとして使用していますが、東京でローカル6局を完全に分離でき充分実用になります。費用も1500円位でできるので一家で何台も持つ場合に 面白いと思います。放送局から遠い地方では、感度と分離度が不足しますから関心しません。
回路の説明
トリオLA−1(並4コイル) がこのラジオに使用されます。このコイルはわずか45円という安価なものですが一本でラジオの感度と分離を決定してし
まう脳ずいのような大切なもので、メーカーによって相当違いますから、求めるときは充分注意してください。LA−1の箱の中には説明書が入ってい ます。裏に配線図がありますが、この配線を実際に絵にしたものがここに書いた実体図です。どの部品がどこにつくかよく比べてください。
6C6は検波を行なう球です。コイルとバリコンの共振作用によって分離された信号電圧は6C6のグリッドへかかります。するとグリッド電流が流れ
て、グリッドリーク (1Mオーム) の両端に検波電圧が発生し、これが増幅されてプレートへ現れます。プレートに現れた検波電圧は6Z−P1のグリッドに かかりここで拡大されてスピーカーを鳴らすのです。12Fは230Vの交流を半波整流し、コンデンサーと抵抗でろ波して完全な直流にして各真空管へ 供給しています。
豆コンは、6C6のプレートに残っている高周波分をグリッド回路へ戻して能率を上げるもので戻しすぎると発振するので、適度に加減する仕掛けで
す。
組立方法
まず部品を取付けます。穴位置の良いシャーシーを使いますとほとんど自分でゴリゴリやる必要はありません。ソケット、ターミナルなどはスプリン
グワッシャーでしっかり締め付けます。ハンダつけは松ヤニでやればよいのですが、初めてではとても付きませんから、無酸ペーストを使います。コテ 先は丸いものより、角の方が使い良いと思います。熱したところで、先をヤスリでこすりペーストを少し付けて、ハンダメッキします。ハンダメッキされ ていないと、熱伝導しないのでうまく付きません。つける電極と線は良く磨いてあらかじめハンダびきをしておきます。ハンダがひかれておれば2つを 当てて鏝を当てればうまく付いてしまいます。トランスのまわり、12F → P1 → 6C6と、端から配線してゆきます。バリコンがゴムで浮いているとき は、シャーシーへアースするのを忘れないでください。ハンダ付けした後は、一箇所毎にペーストを必ず拭き取ってください。このラジオに使用するアン テナは室内に5m位の線をはる程度のものが最も良く、アースをアンテナ端子へ入れる時は100PFを通してください。
SIMPFEMO-code
『正本では別ページになっています受信レポートの一部です。』
【一応ここで ”完” 】
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