『 安全登山のための基礎知識 』
1)自分のペ−スを知る
登山は1時間歩いて10分程度の休憩(急登でも)を入れるのが普通であるが、登山地図などのコ-ス
タイムと見比べて、自分の歩行ペ−スを知っておくことは大切な要素だ。歩行時間の割り出し方は、
平地で3km/1時間。登りで標高差250m〜300m/1時間を基準にして、自分のペ−スを加減して目的
地までを算出すると良い。
2)履物
他のスポ−ツと兼用出来る装備もあるが、履物だけは登山ブ-ツでないと安全上問題だ。がしかし
山行目的 (季節・山行地・日数・経験等)に合致してないブ−ツも 問題であり、借り物や季節外のも
のは論外。購入時にはフイット性や足首の曲げ易さなど、時間をかけて ゆっくり選んだほうがいい。
3)雨対策
汗かきの人とそうでな人。基礎体温の高めの人と低めの人。雨具を選ぶ時にも人それぞれに異なっ
た条件がある。 汗かきの人には、夏にはポンチョ型がいいだろうけど、体躯に関係なく、稜線ではセ
パレ−ト型になる。装備には総てをカバ- しえる完全な物はないだけに、知恵と工夫が必要になる。
稜線以外では握り易い柄のこうもり傘との併用をして、蒸 し暑い日にはザック の上から腕を通さず
に使うなどこまめに工夫したい。私の場合は2〜3着 持っていて、夏には濡れても気にならない劣化
した物を用い、春秋には防水性重視の新しいものと使い分けしている。しかし、朝から大雨の日には
動かないことがなによりの対策だ。
4)中間目標は7合目付近に置く。
頂上(或いは目的地) までの中間距離を半分より向うに置いておくということ。登山は半分以降が倍
々ときつくなるもの。前半に稼ぐと精神的にも楽になれる。
5)落石対策
冬、岩の隙間に吹込んだ雪は氷結して体積を増やし、岩の割れ目を押し広げる作用をする。 夏、氷
が解けると岩が緩み、風化作用も加わって、登山路の 其処ここの大小の岩片は、そんな自然現象
での落石であり、その岩片を 不注意から蹴落としてしまうのが人口落石。山行中、落石はあるものと
心得えて行動したい。岩山の斜面ではお喋りをひかえて耳をとがらせ、万一の際には岩影に身をよ
せ、或いは小石程度なら頭をザックで守るとか咄嗟の処理を工夫したい。そしてだ、意外と気を抜くの
が休憩時。斜面の途中で休む際には岩壁を背にせず(発見が遅れる)休む場所は下降登山者のホ-
ルライン下に採らない方がいい。
癌と同じに早期発見。落石音を聞 いたら即、大きさや落下方向を確かめ、退避体勢をとるのがその
場での防備策。多発帯での休憩はそこそこにして、そのような場所では視野を塞 ぐ帽子の鍔は後ろ
向きに被り直した方がいい。
6)迷い路対策
雨の日や霧の日に多いのは、フ-ドをしていて分岐箇所を見落としたり、視界を狭くすると方向感覚が
損なわれるからであろう。背丈を越すブッシュの中、広いガラ場や草原、雪どけ間際の尾根道、道標
の無い分岐箇所、さらに気持ちのいい下り道など要注意。以下私流の迷い道対策です。
@行程の概念図を頭に入れ、チエックポイントや現在位置を常に把握しておく。
A分岐点や頂上で、たとえ晴天日で視界があっても見えない時同様に向かう方向 を確認する。休憩
の後などには、コンパス、GPS等で念入りに確認する。大切 なのはそれを習慣性にすること。ガスの
日に備えて己の判断力に絶対の自信 をつけて置く事だ。
Bどんなに注意をしていても迷う時には迷う。 気付いたら来た道をそのまま時間をかけても戻ること。
近回りをしようなどと、勘に頼って横道に入らないことが深入り防止の鉄則だ
C戻る方向が分からなくなったら、やたら動かずビバ-クを決める。人間1日や2日 飲まず食わずでも
体力のあるうちは死なない。 余談になるが、山行中はいつもお腹を7〜8分にしておくと言うのは、こ
のような 事態を想定内に入れてのことなのだ。またそのような事態を想定してのビバ-ク特訓も(自宅
の軒下やベランダから始める)1人立ちになるには必要だ。
自分にとっての最良の教科書は自分自身の過去の山行です
ひとつひとつの山行を、意味ある体験山行にしましょう