喉頭アレルギーについて

喉頭アレルギーについて
喉頭アレルギーの診断基準

スギ花粉症の典型的な症状といえば、くしゃみや鼻づまり(アレルギー性鼻炎)、目のかゆみ(アレルギー性結膜炎)だが、のどのかゆみ、イガイガ感、咳嗽といった咽喉頭症状(喉頭アレルギー)も少なくないことが最近の研究でわかってきた。


これまで、スギ花粉が飛ぶ季節には風邪やインフルエンザが流行するため、花粉症に続発する感染性あるいは乾燥性の咽頭炎と見なされていたが、、藤田保健衛生大学医学部耳鼻咽喉科教授の内藤健晴氏の研究で、花粉症患者で、鼻症状95%、眼症状83%についで、咽喉頭の異物感、かゆみ、いたみ、喀痰、咳嗽などのいわゆる”咽喉頭症状”が60〜70%に出現していたことが明らかになった。しかも、こうした症状の現れ方は、鼻や目の症状と同様、花粉の飛散数や飛散パターンと関連していた。


ラットにスギ花粉の主要抗原であるCry-j-1で感作させ、喉頭粘膜に浸潤した好酸球を調べたところ、鼻腔と同様に喉頭粘膜でも優位な増加が認められ、喉頭もアレルギーの標的になることが確かめられた。更にラットを大気汚染物質であるNO2の暴露下に感作させたところ、Cry-j-1に対するIgEの抗体価が高まり、喉頭粘膜への好酸球の浸潤も大幅に増加した。これは、大気汚染の激しい地域では、花粉の飛散数が少ないにも関わらす、咽喉頭症状が重症化する例が多いという報告の裏付けにもなると考えられる。
もちろん鼻閉症状に伴い、口呼吸主体となったため、ウィルスや細菌がのどに侵入して感染性の喉頭炎を起こす例も否定できず、すべてを喉頭アレルギーと決めつけることは避けねばならない。


しかし、松本市近辺でスギ花粉飛散時期に咳嗽症状を訴え長期化する症例が増加する原因として、大都市圏以上に花粉の飛散量が多い点、及び、松本市の地形に伴う大気汚染物質の停滞が検討されなければならない。


喉頭アレルギーの新しい診断基準(案)(2000年)

(下記の1を訴える場合は、3〜9はすべてを満たす。1を伴わず2だけの場合は4,5,6の項目は不必要)
1 喘鳴を伴わない3週間以上持続する乾性咳嗽
2 3週間以上持続する咽喉頭異常感(痰のからんだ感じ、掻痒感、イガイガ館、チクチクした感じの咽頭痛など)
3 アトピー素因を示唆する所見(注1)の1つ以上認める
4 鎮咳薬、気管支拡張薬が咳に無効
5 明らかな急性咽頭炎、異物、腫瘍の所見がなく、とくに喉頭披裂部に蒼白浮腫状腫脹を認めることがあるが、正常所見のこともある
6 肺機能検査が正常
7 胸部レントゲン、副鼻腔レントゲンに咳嗽を来しうる異常所見を認めない
8 ヒスタミンH1拮抗薬または/およびステロイド薬にて症状が消失もしくは著明改善する
9 逆流性食道炎が想定されない(注2)
1 アトピー素因を示唆する所見
@喘息以外のアレルギー疾患の既往あるいは合併
A末梢血好酸球増加
B血清総IgE値の上昇
C特異的IgE陽性
Dアレルゲン皮内テスト陽性
2 逆流性食道炎が想定されない所見(C、Dだけでも可)
@24時間食道pHが正常
A食道ファイバーが正常
B食道透視が正常
Cプロトンポンプインヒビターで咳や異常感が改善しない
D吃逆、胸焼け、呑酸がない
参考所見
@咽頭粘膜生検にて好酸球、肥満細胞が陽性
A気道過敏性が正常範囲で、咳感受性が亢進している
(内藤健春:喉頭アレルギーの病態と咳嗽のメカニズム、アレルギー科13 (2) :182, 2002)