インフルエンザHAワクチンの添付文章改訂内容

用法及び用量

**6ヶ月以上3歳未満のものには0.25mLを皮下に、3歳以上13歳未満のものには0.5mLを皮下におよそ2〜4週間の間隔をおいて2回注射する。13歳以上のものについては、0.5mLを皮下に、1回又はおよそ1〜4週間の間隔をおいて2回注射する。

用法及び用量に関連する接種上の注意

1. 接種間隔
2回接種を行う場合の接種間隔は、免疫効果を考慮すると4週間おくことが望ましい
2. 他のワクチン製剤との接種間隔
生ワクチンの接種を受けた者は、通常、27日以上、また他の不活化ワクチンの接種を受けた者は、通常、6日以上間隔を置いて本剤を接種すること。ただし、医師が必要と認めた場合には、同時に接種することができる(なお、本剤を他のワクチンと混合して接種してはならない)。

接種上の注意

接種要注意者

(次の患者には慎重に投与すること)

(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)
被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。
(1)
心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者
(2)
予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者
(3)
過去にけいれんの既往のある者
(4)
過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者
(5)
*間質性肺炎、気管支喘息等の呼吸器系疾患を有する者
(6)
本剤の成分又は鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対して、アレルギーを呈するおそれのある者

併用注意

(併用に注意すること)

免疫抑制剤(シクロスポリン製剤等)等との関係1)
免疫抑制的な作用を持つ製剤の投与を受けている者、特に長期あるいは大量投与を受けている者は本剤の効果が得られないおそれがあるので、併用に注意すること。

副反応

副反応等発現状況の概要

**6ヶ月以上13歳未満の小児60例を対象とした臨床試験において皮下2回接種したときの副反応は、6ヶ月以上3歳未満では30例中16例(53.3%)、3歳以上13歳未満では30例中28例(93.3%)であった。
主な副反応は、6ヶ月以上3歳未満で注射部位紅斑11例(36.7%)、注射部位熱感5例(16.7%)、注射部位硬結5例(16.7%)、鼻咽頭炎5例(16.7%)、注射部位腫脹4例(13.3%)、注射部位疼痛4例(13.3%)、注射部位そう痒感3例(10.0%)、鼻漏3例(10.0%)、3歳以上13歳未満で注射部位紅斑25例(83.3%)、注射部位熱感21例(70.0%)、注射部位腫脹19例(63.3%)、注射部位疼痛18例(60.0%)、注射部位そう痒感15例(50.0%)、注射部位硬結11例(36.7%)、鼻漏5例(16.7%)、鼻咽頭炎4例(13.3%)、倦怠感3例(10.0%)、頭痛3例(10.0%)であった2)

重大な副反応

1. **ショック、アナフィラキシー様症状(0.1%未満)
ショック、アナフィラキシー様症状(蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫等)があらわれることがあるので、接種後は観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
2. **急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(0.1%未満)
急性散在性脳脊髄炎(ADEM)があらわれることがある。通常、接種後数日から2週間以内に発熱、頭痛、けいれん、運動障害、意識障害等があらわれる。本症が疑われる場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
3. **ギラン・バレー症候群(頻度不明)
ギラン・バレー症候群があらわれることがあるので、四肢遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射の減弱ないし消失等の症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
4. **けいれん(頻度不明)
けいれん(熱性けいれんを含む)があらわれることがあるので、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
5. **肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
6. **喘息発作(頻度不明)
喘息発作を誘発することがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
7. **,*血小板減少性紫斑病、血小板減少(頻度不明)
血小板減少性紫斑病、血小板減少があらわれることがあるので、紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血等の異常が認められた場合には、血液検査等を実施し、適切な処置を行うこと。
8. **,*血管炎(アレルギー性紫斑病、アレルギー性肉芽腫性血管炎、白血球破砕性血管炎等)(頻度不明)
血管炎(アレルギー性紫斑病、アレルギー性肉芽腫性血管炎、白血球破砕性血管炎等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
9. **,*間質性肺炎(頻度不明)
間質性肺炎があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難等の臨床症状に注意し、異常が認められた場合には、胸部X線等の検査を実施し、適切な処置を行うこと。
10. **,*脳炎・脳症、脊髄炎(頻度不明)
脳炎・脳症、脊髄炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
11. **皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。

その他の副反応

1. 過敏症
接種直後から数日中に、発疹、蕁麻疹、湿疹、紅斑、多形紅斑、そう痒等があらわれることがある。
2. **,*全身症状
発熱、悪寒、頭痛、倦怠感、一過性の意識消失、めまい、リンパ節腫脹、嘔吐・嘔気、腹痛、下痢、食欲減退、関節痛、筋肉痛等を認めることがあるが、通常、2〜3日中に消失する。
3. 局所症状
発赤、腫脹、硬結、熱感、疼痛、しびれ感等を認めることがあるが、通常、2〜3日中に消失する。
4. *神経系障害
顔面神経麻痺等の麻痺、末梢性ニューロパチーがあらわれることがある。
5. *眼障害
ぶどう膜炎があらわれることがある。

その他の副反応の表

**小児対象臨床試験における副反応発現率(皮下2回接種)
<6ヶ月以上3歳未満>

  5%以上  0.1〜5%未満 
過敏症    蕁麻疹 
全身症状  発熱  倦怠感 
局所反応
(注射部位)
 
紅斑、熱感、硬結、腫脹、疼痛、そう痒感  蒼白 
消化器  下痢、ウイルス性胃腸炎   
呼吸器  鼻咽頭炎、鼻漏、上気道の炎症  気管支炎 
皮膚    湿疹 
その他    ヘルパンギーナ、膿痂疹 

**小児対象臨床試験における副反応発現率(皮下2回接種)
<3歳以上13歳未満>

  5%以上  0.1〜5%未満 
全身症状  倦怠感   
局所反応
(注射部位)
 
紅斑、熱感、腫脹、疼痛、そう痒感、硬結、小水疱   
消化器    下痢、腹痛、嘔吐、食欲減退 
呼吸器  鼻漏、鼻咽頭炎  喘息 
精神神経系  頭痛   

高齢者への接種

一般に高齢者では、生理機能が低下しているので、接種に当たっては、予診等を慎重に行い、被接種者の健康状態を十分に観察すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への接種

*妊娠中の接種に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。
なお、小規模ながら、接種により先天異常の発生率は自然発生率より高くならないとする報告がある3)、4)

小児等への接種

**低出生体重児、新生児又は6ヶ月未満の乳児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

接種時の注意

1. 接種時
(1)
接種用器具は、ガンマ線等により滅菌されたディスポーザブル品を用いる。
(2)
容器の栓及びその周囲をアルコールで消毒した後、注射針をさし込み、所要量を注射器内に吸引する。この操作に当たっては雑菌が迷入しないよう注意する。また、栓を取り外し、あるいは他の容器に移し使用してはならない。
(3)
注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。
(4)
注射針及び注射筒は、被接種者ごとに取り換えなければならない。
2. 接種部位
接種部位は、通常、上腕伸側とし、アルコールで消毒する。
なお、同一接種部位に反復して接種することは避けること。

臨床成績

1. **成人に対する臨床成績
*20歳以上の健康成人100例を対象として、A型インフルエンザHAワクチン(A/カリフォルニア/ 7 / 2009(H1N1))0.5mLを上腕に2回皮下接種したときの中和抗体価及びHI抗体価を測定した。1回目接種後及び2回目接種後の抗体陽転率は以下のとおりであった([参考]他社製剤による成績)5)
1997〜2000年において老人福祉施設・病院に入所(院)している高齢者(65歳以上)を対象にインフルエンザHAワクチンを1回接種し有効性を評価した。有効性の正確な解析が可能であった98/99シーズンにおける結果から、発病阻止効果は34〜55%、インフルエンザを契機とした死亡阻止効果は82%であり、インフルエンザHAワクチンは重症化を含め個人防衛に有効なワクチンと判断された。なお、解析対象者は同意が得られたワクチン接種者1198人、非接種者(対照群)1044人であった6)
2. **小児に対する臨床成績(承認事項一部変更承認時)2)
**6ヶ月以上13歳未満の日本人健康小児60例を対象として、本剤を6ヶ月以上3歳未満には0.25mL/回、3歳以上13歳未満には0.5mL/回を、21日(±7日)間隔で2回皮下接種した。1回目接種後及び2回目接種後の免疫原性の結果は以下のとおりであった。
**欧州医薬品庁(EMA)の季節性不活化インフルエンザワクチンの毎年の製造株変更時の安全性及び有効性の評価に関するガイダンス(CPMP/BWP/214/96)7)において、有効性(予防効果)と相関する免疫原性の評価基準が定められており、この基準を用いて免疫原性の評価を行ったところ、いずれの接種用量においても2回接種後では3株全てで評価基準を3項目中1項目以上満たした。ただし、接種用量0.25mLのうち、6ヶ月以上1歳未満(15例)のサブグループにおいては、B型株で評価基準を3項目とも満たさなかった(抗体陽転率6.7%(1例)、GMT変化率2.1、抗体保有率6.7%(1例))。

臨床成績の表

*中和法及びHI法による抗体陽転率

採血時期  中和法  HI法 
1回目接種21±7日後  87%(87例)  73%(73例) 
2回目接種21±7日後  83%(83例)  71%(71例) 

※陽転判定基準:A型インフルエンザウイルス(H1N1)に対する抗体価が40倍以上かつ接種前の抗体価からの4倍以上の上昇


**免疫原性結果
<6ヶ月以上3歳未満:0.25mL:30例>

  測定時期  HI抗体価
抗体陽転率 
HI抗体価
GMT変化率 
HI抗体価
抗体保有率 
中和抗体
陽転率※※ 
A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)株  1回目
接種後 
30.0%
(9例) 
2.2  30.0%
(9例) 
33.3%
(10例) 
A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)株  2回目
接種後 
66.7%
(20例) 
6.1  66.7%
(20例) 
73.3%
(22例) 
A/ビクトリア/210/2009(H3N2)株  1回目
接種後 
50.0%
(15例) 
4.8  53.3%
(16例) 
30.0%
(9例) 
A/ビクトリア/210/2009(H3N2)株  2回目
接種後 
100.0%
(30例) 
16.0  100.0%
(30例) 
90.0%
(27例) 
B/ブリスベン/60/2008株  1回目
接種後 
16.7%
(5例) 
1.9  16.7%
(5例) 
13.3%
(4例) 
B/ブリスベン/60/2008株  2回目
接種後 
36.7%
(11例) 
3.9  36.7%
(11例) 
23.3%
(7例) 

<3歳以上13歳未満:0.5mL:30例※※※

  測定時期  HI抗体価
抗体陽転率 
HI抗体価
GMT変化率 
HI抗体価
抗体保有率 
中和抗体
陽転率※※ 
A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)株  1回目
接種後 
73.3%
(22例) 
5.9  93.3%
(28例) 
66.7%
(20例) 
A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)株  2回目
接種後 
89.7%
(26例) 
7.4  100.0%
(29例) 
82.8%
(24例) 
A/ビクトリア/210/2009(H3N2)株  1回目
接種後 
56.7%
(17例) 
4.1  96.7%
(29例) 
73.3%
(22例) 
A/ビクトリア/210/2009(H3N2)株  2回目
接種後 
69.0%
(20例) 
5.6  96.6%
(28例) 
82.8%
(24例) 
B/ブリスベン/60/2008株  1回目
接種後 
43.3%
(13例) 
3.2  76.7%
(23例) 
50.0%
(15例) 
B/ブリスベン/60/2008株  2回目
接種後 
55.2%
(16例) 
4.0  86.2%
(25例) 
55.2%
(16例) 

※HI抗体価についてはEMAのガイダンス7)を参照
※※中和抗体陽転率は、各ワクチン株に対する抗体価が40以上かつ接種前の抗体価からの4倍以上の上昇を示した被験者割合
※※※1回目接種後30例、2回目接種後29例