アトピー体質と咳


   世の中のアレルギーの専門家の多くは、「アトピー」という言葉を、「IgE抗体(T型アレルギー反応の原因とされています)を産生するアレルギー反応と、その傾向を有する体質を表現する名称」として使っております。ですから、IgE抗体を測定して上昇を認めたとき、初めてアトピー体質という診断がなされます。
   しかし、本来「アトピー」という言葉は、アレルギー疾患にかかりやすい人、つまり体質を表す言葉として生まれたものです。明らかに家族歴をみるとその傾向があるけれど、血液をしらべてみてもIgE抗体の上昇がみられないことは日常診療でよくあることです。従って、「IgE抗体の上昇=アトピー体質」という短絡的な考え方では、アトピー疾患を全体的にとらえることができるとは思えません。
   アトピー体質にも様々な症状の出方があります。喘息、アレルギー性鼻結膜炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性気管支炎(アトピー咳嗽と表現することもあります)などの疾患やまですが頻尿、倦怠感などの症状がみられることもあります。これらの疾患は別々のものではありません。外からの刺激(抗原といいます)から起こる、体内の反応の現れる場所が異なるだけです。同じ個体でも花粉により出現する症状が異なることもあります。例えばシラカバの場合は皮膚症状が、スギならばクシャミ、鼻水がといった具合です。
   最近、マツの花粉症の時期に目立って(松本ではニセアカシアが咲く頃、更に増加しますが)難治性、再発性の咳の患者さんを多く診療します。鼻風邪ウィルス(RSウィルス)やマイコプラズマというバイ菌による場合もありますが、マツ花粉の直接刺激によるものが強く疑われる症例が増えています。のどの痛みから始まり、のどの乾燥感、痰がからむ感じ、声のかすれなどの症状が現れ、次第に咳き込みが深くなっていく傾向が多く見られます。
   治療としてはアレルギーが関係していると考えられる場合、やはり基本は抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤となりますが、この症状の場合は効果が他の花粉症ほどでなく、抗生物質や気管支拡張剤の併用が必要な場合が多くなります。

*この表は日系メディカル2000年10月10日号から転用させていただいております。