私たちは、何のためにエネルギーを使用しているのであろうか? 冷暖房や車、溢れかえる物を維持するためであろうか? もともと人類を他の生物と区別して人類らしくしたものが火や道具の使用であったのだから、エネルギーをまったく使用しない人間を想像することは無意味であろう。そこで、人間が生命を維持するという最も基本的な要件について、エネルギーがどのように関係しているかを調べてみよう。
 図に過去の日本のエネルギー消費量と寿命との関連を示す。この図はいくつかのことを教えている。第1、利用できるエネルギー量が少ないと平均寿命が低い。すなわち、エネルギーが利用できなければ人間は死ぬ。第2、日本の戦後がそうであったように、絶対的に不足していたエネルギー消費量をわずかに増加させることができれば、寿命が飛躍的に延びる。そして第3に、ある程度以上のエネルギーは寿命の延長に役に立たない。1960年代の高度成長期やバブル期を含めた1990年前後、エネルギー消費は急激に伸びている。しかし、その期間における寿命の延びはほんのわずかでしかない。
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上の図は日本という一つの地域について、時間的なエネルギー使用量の変化を尺度として寿命がいかに変わるかを示した。同じことは、今日というある時刻の中での、世界各国のエネルギー使用量の違いを尺度にしてもいえる。下の図に世界各国のエネルギー消費量と寿命との関係を示す。図の左の軸周辺に「エネルギー窮乏国家群」として示した国々の中には、使用できるエネルギー量が絶対的に欠乏しているため、生命自身を維持できない国がある。そうした国では、エネルギー消費を少しでも増やすことができれば寿命は飛躍的に長くなる。逆に上部に横に長く分布している「エネルギー浪費国家群」では、エネルギー使用量をいくら増やしても寿命を延ばすことはもはやできない。にもかかわらず、厖大なエネルギーを使い続けている国々がこのグループに属する。
 いくつかの例外があることを承知の上で付記しておけば、「エネルギー窮乏国家群」とは有色人種の国々であり、「エネルギー浪費国家群」とは白色人種の国々である。

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エネルギーと余命