束間の偏話11
1994年9月15日 「健康度F」

  職場の定期健康診断の結果が出た。「F」である。ランクは全体でA〜Fまであって、即ちFは最下位なのである。すぐにでも入院しなければいけないほど健康状態は悪化している、という訳なのだ。本人には一向に自覚症状がないのだが。とにかく10以上ある検査項目で、4つも要注意の*印が付いてきた。困った事である。

  まず肥満。標準体重を19%もオーバーしているというのだ。確かに今の職場に異動してから、けっこう気楽なのとデスクワークなのが重なって5kg以上は太った。精神的に非常に安定して良いと思っていたのだが、肉体のリラックスというのは贅肉を増やすだけとはまことに皮肉な話だ。

  次に、胃のレントゲン撮影で1か所怪しい部分があるという。胃潰瘍か。それとも癌!そういえばストレスが溜っていたような気もする。かなり飲酒もしたし、胃が荒れていてもおかしくはないだろう。早々に医者へ行って胃カメラでも呑んで再検査を受けなければなるまい。

  血液検査では、γGなんとかの数値が異常に高かった。これは飲酒などで肝臓が壊れて酵素成分が血中に漏れだしてきている事を示すのだそうだ。要するに飲み過ぎ。しかし前回までの検査では何の異常も無くて、酒は同じ様に飲んでいたのだから、ちょっと納得できない。まあ歳をとったということか。

  血液検査ではもう一つ、赤血球濃度の何かがいけないらしいが、これは原因も結果も全く理解できない。とにかく肝臓に問題が生じている可能性があるな、と思うくらいだ。

  以上の様な状態から、判定は「F」となった訳だ。健康には子供の頃から今ひとつ自信が持てなかったのだが、このように厳然たる事実を突き付けられると、「やっぱり30代も後半に突入したのだ」という事を思い知らされる。二日に1回の酒を三日に1回に減らし、ダイエットに努め、…考えただけで嫌になる。でも、胃の件は気になるなあ。癌になったら痩せるというけれど、そんな気配は無いしなあ。

  こういう検査とか医療に関わる事って、とかく俎の上の鯉のような気分になってしまうのは僕だけではあるまい。でも逆に見ると、人の健康(命)なんてものは風に揺れる木の葉の上の露の玉のような儚いものなのかもしれない。皆、毎日、細くて脆いロープの上を綱渡りしているのだ。


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