お題036・不良
どういうわけか重力に逆らっているツインテールが、不思議でならなかった。
「……ちょっとゴールド、あなた人の話聞いてるの?!」
というかクリスに説教されているのだ。理由は、ゴールドとしてはあまり気にしていなかったこと、というよりもむしろ普通なのだが。
どうしてか出かける途中でオーキド研究所からお使いに出ていたクリスと遭遇してしまったのだ。
ちなみにこちらは、コガネシティに行く途中。行き先は無論ゲームセンター。
行き先がクリスにばれて、なぜか絞られている。
「ハイハイ、聞いてマス聞いてマス」
手をひらひらと振ると、彼女は余計に怒った様だった。
「もー、これで本当にオーキド博士から図鑑を貰った人だとは思えない!!」
「……ちょっと待った、そりゃあどういうことだよクリス」
ちょっとむっとして言い返すと、彼女は両手を組んでどこか虚空を見上げるしぐさをした。
「だって、レッドさんはリーグ優勝者だし、グリーンさんはジムリーダーでしょう? ブルーさんなんて強くて素敵な女性の見本って感じだし、
イエローさんは一見頼りなげだけど凄くしっかりしていて流石って感じでしょう? でもそれに比べてゴールドは……」
「……じゃあオレはともかくとして、シルバーはどうなんだよ?」
「…………えっと、彼はあれでしょ?オーキド博士から奪ってったって。
……でもそれは訳があってのことだったんですもの、今となっては仕方ないでしょう?」
確かブルーも図鑑とポケモンを盗んでいっていたと思うのだがそこら辺は今のクリスに言っても無駄だろう。
ゴールドは密かに溜息をついた。
やっぱりガチガチカタブツ学級委員タイプは苦手だ。
どうしてこうもちょっかいを出してくるのか、正直真意がつかめない。
たぶん、「悪い事をしているから」なのだろうけど。
「なあもう良いだろ、オレだって用事があるんだから」
溜息をついて言うと、彼女はようやく気付いたように首を傾げた。
「……用事があったの?」
まあ分ってくれればいいのだ。
こっそりと、ポケットの中でボールを探して掴む。バクたろう。多分合ってる。
「おう、そんじゃあクリス、オーキドのジイさんにヨロシクな!」
「え? ちょっとゴールド、さっきはコガネシティの……」
「当たり前だろ」だからさっきも言ったのに、ゲーセンにいくって。
クリスの反応を見ないまま、ボールからバクたろうに出てきてもらって背中に飛び乗る。
「三十六計逃げるにしかずッ、いくぞ、バクたろう!」
「ちょっ……」
後ろから、絶句していたクリスが気付いて叫ぶ声が響いてきた。
「やっぱり不良なんだからー!!」