お題014・ライバル
――負けたことがない。
負けたかもしれないことが何回かあったけど、
でも、結局勝ってきた。
もっと強いやつだって沢山居たし、
彼らと戦って負けることは多い。
それでも、
ライバルと言えるポジションにいるのは、いつだってそいつ一人だ。
「あー、また負けた〜!!」
心底悔しそうに、けれど清々しくそう言って、ゴールドがばたんと草むらに寝転がった。
「……鍛えてもらったんじゃなかったのか?」
近づいていって、見下ろして問い掛けると、彼は綺麗な金色の瞳を細めて眩しそうにこちらを見上げてきた。
「んー、そうだけど。でもなんて言うかな、レッド先輩と俺じゃあ向いてるモンが違うってーか ……シルバーはそういうの、思ったことないのか?」
逆に問い返された。
「最近は無いな」
「……前はあったんだ?」
あったと言うより、前は思わなかったようなことを、今したり、思ったりしていると言ったほうが正しいかもしれない。
「こんな風に過ごしてる事自体が向く向かない以前にありえないと思ってたからな」
正直に言うと、「あー」とかいって目をそらされた。その小麦にも似た金色がこちらを向いていないことに、微かな不満を覚える。
「……でも、今がこれでいいとおもってるよ」
言うと、彼は再びこちらを向いてにっこりと微笑った。そのまま勢いをつけて上半身を起こし、自分の隣をぱたぱたと叩く。座れ、という事らしい。
彼の隣に腰を下ろすと、ゴールドはそのままこちらの膝の上に倒れこんできた。
「…………」
どうリアクションして良いかわからないまま見詰めていると、ゴールドは心地良さそうに瞳を閉じる。
コイツには負けたことが無い。
でも、本当に勝ってきたのは、きっとコイツで。
結局その勝因は、あの、太陽みたいな笑顔なのかもしれない。
だから、ずっと引き分けているコイツが、一番のライバル。
終わり。